MECEとは
「MECE(ミーシー)」とは、「Mutually Exclusive and Collectively Exhaustive」の略で、「漏れなく、重複せず」という意味を持ち、思考対象をいくつかの要素に分類したときに、漏れや重複がない状態であることを指します。MECEはロジカルシンキングの基本概念の1つで、思考の整理、効率的な問題解決、納得感のある解決策の立案に役立ちます。
MECEの例
MECEの例と、そうでない例とを紹介します。例えば全人口を対象としてターゲットを分類するとします。
漏れなし重複なし
「0〜19歳、20〜39歳、40〜59歳、60歳以上」と分類したとき、全ての人を分類することができ、この状態はMECEと言えます。
漏れなし重複あり
「子供、若者、女性、男性、大人」と分類したとき、全ての人を分類することができますが、子供と若者の分類が曖昧であったり、女性と男性は他の項目にも含まれるもので重複がありMECEとは言えません。
漏れあり重複なし
「10代、20代、30代、40代」と分類したとき、重複はありませんが10代未満と50代以上が漏れているためMECEとは言えません。
漏れあり重複あり
「小学生、学生、社会人」と分類したとき、未就学性が漏れていたり、小学生と学生に重複があったりするのでMECEとは言えません。
MECEに考える|アプローチ方法
MECEに物事を考える時のアプローチ方法は2つあります。
トップダウンアプローチ
トップダウンアプローチとは、全体を把握し、大きな枠組みを決めてから要素を当てはめていく手法です。全体像がはっきりしている時や分類方法が事前にわかっているときに有効です。全体を俯瞰しながら考えることができ、ゴールを意識しながら分類することができます。
ボトムアップアプローチ
ボトムアップアプローチとは、要素を洗い出してからグループ化し、全体像を描いていく手法です。全体像が見えない時や分類方法がわからないときに有効です。
MECEに考える|分類方法
物事を考えるとき、さまざまな分類方法があります。また、その時に既存のフレームワークを使って考えるとMECEに物事を考えやすくなります。ここでは4つの分類方法を紹介します。
対照概念
対照概念とは、対照的な概念で分類することです。例えば「メリット、デメリット」「客観、主観」「質、量」などがあり、カテゴリーが2つに絞られるため他の分類方法よりも分類がしやすいです。
要素分解
思考対象を全体から要素へと分解していく方法です。フレームワークとして、「3C分析」、「4P分析」、「SWOT分析」などがあります。分解した要素を組み合わせると全体集合となります。
時系列/ステップ分け
時系列や段階で分解する方法です。フレームワークとして、事業活動を価値創造のための一連の流れとして捉える「バリューチェーン」や人が購入に至るまでの心理的変化を段階で表す「AIDMA」などがあります。
因数分解
思考対象を計算式で表し、要素に分解していく方法です。例えば「従業員=正社員+契約社員+派遣社員+アルバイト」や「売上=顧客数×顧客単価」と表せます。
MECEの注意点
漏れと重複を避ける
MECEは、その意味の通り、要素の漏れと重複を避けることが前提ですが、特に漏れを避けることが重要です。重複は後から見直せば修正することができますが、重要な要素が抜けていると分析が不完全になり正確な結論に至らない可能性があるからです。
目的を忘れないようにする
MECEは漏れがなく重複がない状態を表す言葉であって、要素を分類することが目的はありません。何のために分類するのか、どこまで分類する必要があるのか、目的を忘れずに思考することが重要です。
分類できない要素もある
全ての要素を完全に分類することが難しいケースもあります。複数の要素を合わせ持つものや特異的なものなど、MECEの枠内に収まらないものは無理に分類せずに別枠として扱うことも必要です。
まとめ
MECEの論理的思考は、企業の方針を考えることから、個人的な考え事まで、どんなことにも活用できます。フレームワークを活用することで枠に収めながら考えることができるので、よりわかりやすく整理しながら進めることができます。主観的になったり、分類することが目的とならないよう、しっかりとした目的をもって思考分析することが大切です。