「演繹法」と「帰納法」は、物事を論理的に考えるロジカルシンキングの基盤のひとつです。演繹法や帰納法を用いることで、納得感のある説明をすることや問題解決の精度を高めることができます。ここではそれぞれの手法や具体例について説明していきます。
演繹法とは
演繹法とは、一般的な法則やルールから特定の結論を導き出す方法です。仮説や仮定ではなく事実に基づいた事柄が前提であるため強い説得力を持ちます。
演繹法の具体例
「緑黄色野菜には栄養がある」という一般論に、「トマトは緑黄色野菜である」という事実を当てはめて、「トマトには栄養がある」という結論を導き出すことができます。
- 一般論:緑黄色野菜には栄養がある
- 事実:トマトは緑黄色野菜である
★結論
トマトには栄養がある
演繹法のビジネスシーンでの活用
一般的な法則から具体論を導き出す演繹法は、企業の方針やビジョンなどから具体的な戦略を考える時に活用できます。
例)
- 市場の動向と自社の強みから自社のポジション戦略を立案
- 会社の全体方針から各部門の戦略策定
- 社員のスキルと職務内容から最適な配属を決定
帰納法とは
帰納法とは、具体的な事柄や特定の事柄から共通点を見つけ、一般的な法則やルールを導き出す方法です。規則性を導き出すための事例が多いほど納得感が得られます。
帰納法の具体例
テレビで「シュークリーム店に行列ができている」と報道されていたとします。また、雑誌でも人気のシュークリーム店が特集されていて、SNSでは人気シュークリームのランキングが投稿されていたとします。
この3つの情報から「最近シュークリームが流行している」という結論(仮説)が導き出されます。
- シュークリーム店に行列ができている
- 人気のシュークリーム店の特集
- 人気シュークリームのランキング投稿
★結論
最近シュークリームが流行している
ただし、帰納法は実際の出来事から仮説を立てているだけということを忘れないとこが大切です。この例の場合、日本中で流行しているのか一部のお店だけで流行しているのかどうかは言い切れないので注意が必要です。
帰納法のビジネスシーンでの活用
複数の事実から結論を導き出す帰納法は、マーケティングや営業で活用することができます。お客様アンケートや顧客データ、過去の販売実績などから新たなマーケティング戦略や営業方法を導き出すことができます。
例)
- お客様アンケートをもとに商品の改良点の特定
- 顧客データから新規市場の開拓
- 過去の成功・失敗事例をもとに新たなプロジェクトの立ち上げ
まとめ
演繹法と帰納法は結論へのアプローチ方法がそれぞれ異なりますが、様々な場面で役に立つ思考方法です。演繹法は一般的な法則から具体論を導き出すのに対し、帰納法は具体的な事例から一般的な法則を導き出すものです。ロジカルシンキングの基盤であるこの2つの法則を状況に応じて使い分けることでより正確な結論を導き出すことができます。