KJ法とは
KJ法は、日本の文化人類学者である川喜田二郎(かわきたじろう)氏が開発したアイデア整理や情報分析の手法です。主にグループでのアイデア出しや問題解決に用いられます。川喜田氏の名前のイニシャル「KJ」にちなんで名付けられました。
この手法は、情報をカードに書き出し、それらを分類/整理することで新たな発想を試みます。現在では、ビジネス、教育、研究など幅広い分野で活用されています。
KJ法の目的
KJ法の目的は、主に以下の2点があります。
- 膨大な情報を視覚的に整理し、意味のある構造を見つけ出す。
- 情報間の関係性を分析することで、新しい発見や課題解決の糸口を見つける。
特に曖昧で複雑な課題に直面した際、KJ法を用いることで、情報の整理が進むだけでなく、チーム内の意見交換が活発になり、創造的な解決策が生まれやすくなります。
KJ法の進め方
1. 情報カードを作成する
各メンバーがアイデアや課題に関する情報を1枚ずつカード(または付箋)に書き出します。この際、1枚のカードには1つの情報だけを書きます。情報は具体的に記述し、簡潔な表現を心がけます。
2. カードをグループ化する
作成したカードを机の上やボードに広げ、似たテーマや関連性のあるカード同士をまとめてグループ化します。この段階では、参加者全員でカードを見直しながら意見交換を行い、新しい視点を取り入れることが大切です。
3. グループに名前を付ける
グループ化されたカードの束に、共通の特徴を表すタイトルを付けます。タイトルはそのグループを簡潔に表すことができる言葉にします。
4. グループ間の関係を整理する
作成されたグループ間の関係性を考え、全体的な構造を見出します。この際、グループ間の優先順位や因果関係を明確にすることも大切です。必要に応じて、図やチャートを用いて整理します。
5. 最終的な結論やアイデアを導く
整理された情報をもとに、新たなアイデアや解決策を見出します。これにより、曖昧だった問題が明確になり、具体的なアクションプランが導き出せます。
KJ法のメリット
視覚的で分かりやすい
情報をカードとして視覚的に整理することで、全体像を把握しやすくなります。
創造性を刺激する
グループ化や関係性の整理を通じて、参加者が新しい視点で問題を見る機会が増え、新しいアイデアが生まれます。
曖昧な問題に強い
不確実性の高い課題や、明確な答えがない状況においても、情報の整理から課題解決の糸口を見つけやすくなります。
チームでの合意形成が進む
グループでの作業を前提としているため、全員が情報整理に関わることで合意形成がしやすくなります。
KJ法のデメリット
時間がかかる
情報のカード化やグループ化に時間を要するため、即効性は低い場合があります。
カード作成が煩雑になる可能性がある
情報量が多すぎると、カードの整理が難しくなることがあります。そのため、適切な範囲に情報を絞る工夫が必要です。
参加者の経験やスキルに依存する
アイデアを引き出したり整理するスキルが参加者に欠けていると、効果が減少する場合があります。
まとめ
KJ法は、曖昧で複雑な課題に対処するための有効なフレームワークです。カードに情報を書き出し、グループ化と関係性の整理を通じて、新しい視点や解決策を見出します。参加者全員が積極的に情報整理に関わりながら創造性を発揮できる一方で、時間やスキルが求められる場合もあるため、目的の明確化、情報収集、参加者の選定など適切な準備が必要です。