ヤコブの法則は、ユーザーエクスペリエンス（UX）やWebデザインの分野で広く知られている法則の一つで、ユーザーの期待に応えるデザインを実現するための重要な指針です。この法則は、ユーザビリティの専門家であるヤコブ・ニールセン（Jakob Nielsen）によって提唱されました。
ヤコブの法則とは
ヤコブの法則とは、ユーザーは他のWebサイトで慣れ親しんだやり方を、自分のWebサイトにも期待するという法則です。つまり、人は新しいデザインや操作方法を一から学ぶことを好まず、既に体験してきた構造・操作・見た目を自然と前提としているということです。
たとえば、ショッピングサイトに訪れたとき、多くの人は「右上にカート」「左側または上部にカテゴリ一覧」「ページ下部にお問い合わせ先」などの配置を期待しています。もし、商品購入の導線が大きく異なっていたり、カートの場所がわかりづらかったりすると、それだけでストレスを感じて離脱してしまう可能性が高くなります。また、スマートフォンアプリにおいても、スワイプで戻る、画面下部にナビゲーションがある、といったよく見る配置は、ユーザーにとって学習コストの低い設計になります。
なぜヤコブの法則が重要なのか
現代のユーザーは、日常的にさまざまなWebサイトやアプリに触れています。そのため、UIやナビゲーションの標準的なパターンがすでに身に染みついています。つまり、完全に新しいデザインは必ずしも歓迎されるわけではなく、使い慣れた形をしているほうが、より快適で安心できると感じます。
この法則は独自性と普遍性のバランスを取るうえで非常に重要です。独自性を出すことも大切ですが、使い勝手を犠牲にしてまで新しさを追求すると、逆にユーザーが離れてしまいます。
ヤコブの法則を活かすためのポイント
一般的なUIパターンを尊重する
ナビゲーションの配置、フォーム入力の流れ、リンクの色や下線など、標準的なUIパターンを用いることで、直感的な操作が可能となります。
ユーザーテストで違和感を探す
少数のテスターでも直感的に使えたかどうかを検証するだけで、大きな改善のヒントが得られます。
独自性はコンテンツやビジュアルで出す
操作性においては定番を守りつつ、ブランドイメージの写真や言葉、配色などで独自性を表現するのが効果的です。
まとめ
ヤコブの法則は、ユーザー中心のデザインを考えるうえで非常に大切な原則です。多くの人は新しい操作を学ぶよりも、慣れた形でスムーズに使えることを望んでいます。したがって、ユーザーの期待に沿った設計を心がけることで、使いやすく、信頼されるデザインに近づくことができます。
